空家空地活用協会の blog

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一度貸した家は戻ってこないのか?

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空き家

使う予定のない空き家を放置しないで活用する方法として、解体する、売却する、賃貸する、といったことが考えられます。
そのうち、再建築のできない立地に建っている空き家は、売却するとかなり安くなりますし、解体して更地にしても再建築もできないので、修繕して貸し出すくらいしか方法が見当たらない、という場合があります。
さて、家を貸し出した場合、一度貸した家はもう戻ってこないのか?自分や家族が使いたい場合、家が戻ってこなければどうしたらいいのか?という心配もあるかと思います。
確かに、一度貸した土地が戻ってこない、建物もずっと借りられたまま、という話はよく聞くかと思います。
しかし実際はどうなのでしょうか?
結論から言うと、契約次第で戻ってくるということになります。

普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約について
住宅を賃貸借する契約の種類として、普通建物賃貸借契約と、定期建物賃貸借契約という、大きく分けて2種類あります。
普通建物賃貸借契約とは、通常イメージできる賃貸借契約であり、2年や3年で更新を続けていくという契約です。
それに対して、定期建物賃貸借契約とは、2年とか5年とか10年とかというように、一定の期間だけ存続して、更新をしない特約をした契約です。
つまり、この定期建物賃貸借契約の場合は、その期間を経過したら、その賃貸借契約は終わるので、家を返してもらえる、というわけです。
通常見られる普通建物賃貸借契約の場合は、その契約を更新し更新を続けて、永続していくことが前提です。
そして、その普通建物賃貸借契約において、貸主側から出ていってほしいと主張する場合は、借主側は借地借家法により保護されているため、退去させることができる事由が限られるということです。
それで、自己使用の必要性等の正当事由がなければ立ち退かせることができなかったり、それ相当の高額の立ち退き料が必要になるということになります。
そのため、一度貸した家は戻ってこない、という話につながるものと思います。
その一方、この定期建物賃貸借契約の場合は、正当事由や立ち退き料を必要とせず、期間の経過により契約が終わるため、立ち退いてもらえる、というわけです。
この定期建物賃貸借契約にしておきますと、貸す側にとっては、短期のお試し期間みたいにも使える契約ともなります。
その間に特段トラブルや問題がなければ、双方話し合いの上、期間終了後再契約をすることもできます。

普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約はどちらが貸しやすいか
不動産業者の談では、確かに定期建物賃貸借契約の場合は、住める期間限定というのがネックで、普通と比較して入居者が集まりにくい、ということがあるようです。
それで、自己使用の必要性が低いと思われ、かつ長期に利用してほしい、そして入居者が確実に入ってほしいという場合は、普通建物賃貸借契約で良いかと思います。
または、普通建物賃貸借契約であるが、2年更新を5回まで可能(合計12年程度)等ということもできるかもしれません。
一方、今後自己使用の可能性が見込まれ、その時点では退去してほしいし、多少入居者の集客が悪くてもいいというのなら、最初から定期建物賃貸借契約にしておくことができると思います。
具体的に、どういう種類、内容、期間の契約にしたら良いかという問題ですが、そのご家庭の抱えている事情や建物の状態など、場合により千差万別となります。
それで、空き家を貸し出したい場合は、当職に相談されたほうが良いかと思います。

空き家を貸すために改装するにも、お金が必要です。
売却のためにある程度見栄えの良いものにするにも、また解体して更地にするにしても、お金が必要です。
しかし、空き家所有者の多くは、余裕資金が少ないという場合が多いでしょう。
その空き家の土地建物に抵当権設定をして、資金を借りることも可能ですが、できる場合も、できない場合があります。
こういう時に、行政からの補助金というものは、果たしてあるのでしょうか?

空き家を活用するための補助金について
結論としては、行政も空き家対策として、様々な補助を行っています。
つまり、空き家は全国的に問題になっているということもあり、自治体が空き家の補助金を定めています。
ただ、自治体により補助金のある所、ない所があります。
京都府内で言いますと、京都市の他、綾部市相楽郡南山城村舞鶴市宮津市与謝郡与謝野町において、補助金の存在を確認しています。
全国の空き家関連の補助金情報を集めたサイトがあり、参考にできるかと思います。
参照 http://akiya-takumi.com/subsidy/

京都市の空き家活用・流通支援等補助金について
なお、当職事務所のある京都市には、「京都市空き家活用・流通支援等補助金」というものがあります。
その紹介をしたいと思います。
参照 

www.city.kyoto.lg.jp


この補助金には、
1.活用・流通促進タイプ:1年以上居住者又は利用者がなく、賃貸用または売却用でない空き家を、活用又は流通させようとする場合、改修工事や家財の撤去にかかる費用の一部を補助するもの。
2.特定目的活用支援タイプ:現に居住者又は利用者がいない空き家を、まちづくり活用拠点等(地域の居場所づくり、留学生の住まい等)として活用する場合、改修工事や家財の撤去にかかる費用の一部を補助するもの。
の、2種類があります。
特定目的については、細かく目的が列挙されています。
補助対象となる建物についても、細かく条件があります。
補助の対象となる工事については、空き家の改修や家財の撤去費として、例えば台所、浴室、洗面所または便所改修、給排水、電気又はガス設備の改修等、これも詳細に定められています。
補助金額ですが、1.の活用・流通促進タイプについては、補助対象工事の金額の2分の1で、上限は30万円、ただし京町家は60万円となります。
2.の特定目的活用支援タイプについては、補助対象工事の金額の3分の2で、上限は60万円、ただし京町家は90万円となります。
補助申請と工事についての流れについても、順序が決められています。
また、空き家の解体についても、補助金があります。
ただし、解体後新たに建物を建てることはできませんので、慎重に検討することが必要と思います。
参照 

www.city.kyoto.lg.jp


この京都市補助金や、他市町村の補助金についても、もちろん所有者自らご自分で補助金申請をすることができますが、やはり役所の行政手続きですので、書類作成や一連の手続きが煩雑な面があります。
そのため、当職をはじめ各行政書士において、補助金申請代行手続を行うことができます。
詳細は、また当職にご相談くださればと思います。

空家空地活用協会