空家空地活用協会の blog

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空き家を売却する場合の税金と、3000万円控除について

親から引き継いだ空き家をどうするか、貸すか売るかどうするかは、悩みの種です。
その空き家の活用について、一番取りうる選択肢は、売却する、ということになります。
それで、売却する場合の税金や控除について、これから見ていきます。

<h2>空き家を売却する場合の税金</h2>
空き家を売るにあたって、売却価格が取得費と譲渡所得を上回れば、利益が出ることになります。
この利益つまり譲渡所得に対して、譲渡所得税、復興特別所得税、住民税がかかることになります。
この税金の計算方法は下記の通りです。
税金 = (1) 譲渡収入金額-( (2)取得費+(3)譲渡費用)×税率
(1)譲渡収入金額:不動産売却代金のことです。
(2)取得費:その不動産の購入金額、またその際に支払った仲介手数料など、不動産を購入する際に罹った金額の合計のことです。
(3)譲渡費用:その不動産を売却するためにかかった費用のことです。仲介手数料や印紙代をさします。
次に税率についてです。
これは、不動産を所有していた期間によって変わります。
5年以上保有していた場合は、譲渡所得税率は15%、住民税は5%です。
5年未満保有していた場合は、この税率が30%、また住民税も9%となります。
この期間は、親が実家を所有していた期間も含みます。
不動産の取得費が分からない場合が多々あります。
そのような場合、取得費は売却価格の5%で計算するということになっています。
つまり、例えば1000万円で売却する不動産の取得原価は50万円となるので、売却経費がない場合は950万円に対して課税されてしまい、税率15%とすると140万円の課税となってしまいます。
税金で損することにならないために、相続前に重要書類の置き場所を確認しておくことが大切になります。
また、相続した不動産を売却する場合、相続税を取得費に加算できる制度もあります。

<h2>譲渡所得の特別控除</h2>
上記の通り、相続による不動産の売却には税金がかなり掛かってくる場合があります。
その一方、空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度があります。
定義として述べますと、相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年(2023年)12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる、という制度です。
この被相続人居住用家屋ですが、次の3要件すべてに当てはまるものになります。
1.昭和56年5月31日以前に建築されていたこと。
2.区分所有建物登記がされている建物ではないこと。
3.相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
また、被相続人居住用家屋の敷地等、ということですが、相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利のことを指します。
この3000万円控除の適用を受けるためには、下記の条件を満たす必要があります。
1.売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
2.相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともにその敷地等を売ること。
3.相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に。被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
さらに、被相続人居住用家屋は下記の条件を満たすことが必要です。
1.相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸し付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
2.譲渡の時において、一定の耐震基準を満たすものであること。
3.家屋の敷地について、取り壊しの時から譲渡の時まで、建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
またこの売却ですが、相続の開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要です。
さらに、売却代金が1億円以下であることが必要です。
ここまででも複雑ですが、さらに条件が付きます。
1.売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など、他の特例の適用を受けていないこと。
2.同一の被相続人から、相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。
3.親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
要するに、第三者に対して売却していることが必要になるということです。

<h2>適用を受けるための手続</h2>
この特例の適用を受けるためには、確定申告での手続を、税務署に対して行わなければなりません。
(1)家屋又は家屋及び敷地等を譲渡する場合
 ア 譲渡所得の金額の計算に関する明細書
 イ 被相続人居住用家屋、その敷地等の登記事項証明書等
   ・法務局にて家屋、その敷地等の登記事項証明書等を取得可能。
 ウ 被相続人居住用家屋、その敷地等の売買契約書の写し等
 エ 被相続人居住用家屋等確認書
   ・被相続人居住用家屋の所在市区町村に申請し、交付を受ける。各市町村の役所、役場です。
たとえば、京都市での被相続人居住用家屋等確認書の取得については、下記のページを参照してください。

https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000202/202925/R050407QA.pdf


 オ 被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
(2)家屋の取壊し、除去又は滅失後の敷地等を譲渡する場合  (1)のア~エの書類

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