空家空地活用協会の blog

空家、空地の活用を通して地域の活性化を図ります

民法(相続法)の改正について

民法の改正について、昨年7月に法案が可決し、1980年(昭和55年)以来、約40年ぶりに民法が大幅に改正されます。
この施行については、段階的になされることになっています。
その民法のうち、相続に関する法律の部分について、施行順に解説をしたいと思います。

<h2>自筆証書遺言の方式について</h2>
遺言には大きく分けて2つの方式があり、1つは公正証書遺言、もう1つは自筆証書遺言です。
公正証書遺言は、証人2名の立ち合いのもとに、公証人役場で作成する遺言です。
自筆証書遺言は、自筆で書くもので、人に見られる心配はないとはいえ、今までは全て全文手書きでないといけませんでした。
それが、今回の改正では、「財産目録」の部分についてのみ、パソコンによる作成、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等の添付でOKとなりました。
また遺言の偽造を防ぐため、目録にもすべて署名・捺印する必要があります。 

また、紛失・偽造を妨げる法務局での「自筆証書遺言の保管制度」が新たに創設されます。
このスタートは2020年7月10日ですので、既に施行されていますが、こういう制度もできています。
法務局での保管制度を利用した場合、家庭裁判所での検認手続は必要なくなります。

<h2>特別寄与料の請求権について</h2>
相続の権利のない親族が介護に貢献をしているという場合、相続人への特別寄与料の請求を認めるという内容の改正がなされます。
この特別寄与料ですが、今年の7月1日に施行されます。
例えば、夫の親の介護をしているという長男の嫁が、特別寄与料の請求ができる、ということです。
子どもがいる夫婦という家族構成のケースで、夫が死亡した場合に相続の権利がある法定相続人は、妻と子どもということとなります。
つまり子供の配偶者は法定相続人にはならないのです。
介護してきた長男の嫁などは、不公平と感じることもあったかと思います。
それで、新設された民法第1050条では、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人(この例の場合、夫の親)の財産の維持・増加について特別の寄与をした被相続人の親族(「特別寄与者」という、この例の場合長男の嫁)は、相続の開始後、相続人に対し寄与に応じた額の金銭(「特別寄与料」という)の支払を請求できると定められました。
要するに、長男の嫁は、相続財産を受け取った夫の兄弟に、介護に貢献した対価として一部を支払ってくれと請求できる、というわけです。
しかし、相続人が納得して請求通り認めてくれるかどうかという問題もあり、もめることもあるのでは、と思われます。
特別寄与料の請求金額が折り合わない場合は、家庭裁判所が決定することになります。

<h2>遺産分割前の払い戻し制度について</h2>
相続が発生すると、被相続人の銀行口座は凍結されるので、遺産分割が済むまで引き出すことができません。
病院の支払や葬儀代に使いたくても、相続人がその資金を準備せざるを得ないという問題がありました。
それについて、2019年の7月1日からは、遺産分割前の払い戻し制度が創設され、一定額については単独払い戻しが可能になっています。
単独で引き出せる金額は、相続開始時の預貯金額×共同相続人の法定相続分の3分の1(ただし、1つの金融機関から引き出せるのは150万円まで。)
たとえば、被相続人の預金が900万円あって法定相続人が3人の子どもの場合、法定相続分どおり分割すると1人当たり300万円ですが、引き出せるのはその3分の1の100万円、ということになります。

<h2>配偶者居住権、配偶者短期居住権について</h2>
配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。
建物の権利を、負担付の所有権と配偶者居住権とに分け、遺産分割の場合に、配偶者が配偶者居住権を取得し、配偶者以外の相続人が負担付きの所有権を取得する、ということです。
そのようにして、配偶者が自宅に住み続けることができるようにします。
配偶者は、住み慣れた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができるようになります。
また、配偶者短期居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた場合に、遺産の分割がされるまでの一定期間、その建物に無償で住み続ける
被相続人の意思等に関係なく、相続開始時からその権利が発生します。
そして、原則として、遺産分割により自宅を誰かが相続するかが確定した日、または相続開始時から6ヶ月を経過する日まで、その配偶者はその建物に住むことができるという権利です。

<h2>自宅の生前贈与を、特別受益の対象外にできるようになる</h2>
結婚期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に対して自宅の遺贈または贈与がされた場合に、特別受益がされたものとして扱う必要がないこととなりました。
改正前には、被相続人が生前、配偶者に対して自宅の贈与をした場合、その自宅は遺産の先渡しとみなされ、配偶者が遺産分割で受け取れる財産総額がその分減らされていました。
今回の改正により、自宅についての生前贈与を受けた場合には、配偶者は結果的により多くの相続財産を得て、生活の安定を図ることができます。
この下の図の例では、被相続人が自宅とその他財産6000万円を残した場合、自宅を含めず、その他の財産を遺産分割する、ということになります。

相続法改正による影響についても、不明の場合は、当職においても相談を受け付けております。
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相続した農地を、どうやって活用したらよいのか

自分はもう農業をしていないにもかかわらず、農地を相続することがあります。
農地を単純に売ることもできません。
農地は、原則的に農業にしか使えません。
その場合、どうやってこの農地を活用したらよいでしょうか?

<h2>農地をどうやって売るのか</h2>
農地を売りたい場合、単純に売ればよいわけではなく、農業委員会の許可が必要になります。
農業委員会の許可なしで農地を売ったら、法律違反となり無効となります。
農地の賃貸でも、同様の扱いとなります。
ただ、農地の種類がいくつかあり、その種類により、許可の受けやすさが異なってきます。
1.農用地区域内農地
これは、まとまった農地であり、今後長期にわたり農業の利用で使用すべき土地として保護していく対象として、都道府県知事が指定します。
原則として農地転用はできません。
農業信用地域除外申請という申請ができる場合がありますが、申出から容認までおおむね1年程度の年月を要します。
2.甲種農地
これは、市街化調整区域内に20ha以上の広さを持つ農業公共投資後8年以内の優良農地のことを指します。
この甲種農地も、原則として宅地転用はできないこととなっています。
3.乙種農地とは、市街化調整区域内の農地で、3種類に区分されています。
A.第1種農地 土地改良事業等の対象となった10ha以上ある一団の農地で、多くの補助金を使って整備されています。
B.第2種農地 市街地として将来的に発展する可能性の高い地域にある農地
C.第3種農地 300m以内に鉄道の駅がある地域にある農地
第1より第2、第2より第3種農地のほうが、農地転用許可申請は容易になります。

<h2>農地の有効活用の方法について</h2>
使わない農地を農地として活用する方法をいくつか紹介します。
1.他の農家に売る
農地を他の農家に売る場合、農業委員会またはその土地のある都道府県の知事から、売買の許可を得る必要があります。
具体的には、農地転用の3条申請をすることになります。
売却先は、現在農業に従事しているか、これから農業を行う人に限定されます。
2.他の農家に貸す
これも、貸せる相手は他の農家ということになります。
また、農業委員会またはその土地のある都道府県の知事の許可が必要となります。
具体的には、農地転用の3条申請をすることになります。
農業委員会から許可を受け、その後賃貸借契約もしくは使用賃貸契約を借りたいという農家と直接結ぶことで、契約は成立します。
3.農地中間管理機構を利用する
これは、農地バンクや農地集積バンクとも呼ばれます。
使われることのなくなった農地を借り受け、整備・再生を行い、農家へ貸し出す公的機関であり、各都道府県にひとつずつ設置されています。
個人所有の農地や耕作放棄地を借り受け、その農地を、農業法人、企業、大規模農家などへ貸し出します。
4.市民農園とする
市民農園として使わない農地を貸し出すという方法もあります。
使わない農地を市民へ貸す方法と、農業作業体験として利用してもらうという方法があります。
農業作業体験として利用してもらう場合、下記の3つの方法があります。
A.特定農地貸付法による方法 市民に農地を貸し、その賃料を受け取るという方法になり、農業委員会の承認が必要になります。
B.農園利用方式による方法 入園料を受け取り、利用する市民に農作業の体験をしてもらう市民農園です。
営利を目的としないこと、継続して農作業を行うなどの条件があります。
C.市民農園整備促進法による方法 農園として農地を貸し出すこともでき、農業体験型として農業経営を行いながら一般市民の方への開放を行うもできます。
トイレや駐車場、休憩所の配備、農機具倉庫の設置などの付帯設備を整え、賃料や入園料を高く設定することが可能になります。
開設できる場所は、市街化区域の場合はよいですが、市街化調整区域内の場合は、市町村から認定を受ける手続きを行わなければなりません。
その手続きが、農業委員会の承認を得たものとして取り扱われる、というわけです。

<h2>農地以外の活用について</h2>
農地を農地以外にするには、農地転用の手続きをしなければなりません。
その農地を本人が農地以外にする場合は、農地転用の4条申請、権利移動と農地以外にするのを合わせるのは、5条申請になります。
その申請のためには、明確な理由と具体的な目的、つまり具体的な事業計画が必要になります。
その農地転用の手続きは、確かに労力と時間が必要になりますが、行政書士が申請代理を行うことができますので、依頼することができます。
一度農地転用の許可を得てしまえば、農地でなくなるので、利用の制限がなくなり、自由な土地として生まれ変わります。
そうなると、自由に土地の売買や賃貸を行うことができるようになります。

相続した農地をどうやって活用するかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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空き家の値段はどうやって調べるのか

空き家の価値を知ることは、もし売る場合に、どれだけで売れるのかを知る指標となります。
では、どうやって空き家の値段、価値を調べることができるのでしょうか?
なお、ここでは建物の価値が0であるとみなして、土地の価格についてのみ説明をします。

<h2>実勢価格について</h2>
実勢価格とは、一言でいうと、実際に市場で取引されている価格のことを言います。
よくスーパーで売っている野菜でも肉でも、だいたいの相場が形成されています。
そしてその大体の相場より安かったら、購入が促進され、相場より高ければ、購入が抑制されます。
土地も同じように、周辺の類似価格の取引事例を集めてみると、安い取引や高い取引が混在していますが、㎡単価や坪単価は似たようなところが多くあります。
これが実勢価格と言われるものです。
通常の製品などは、定価を知っていて、それより高いか安いかを判断しやすいのです。
しかし、土地の場合は、1つ1つが異なります。
そして異なる土地について、異なる価格が付いているため、判断が難しいのです。
土地の実勢価格とは、過去の取引事例から求めた平均的な価格であって、将来の取引で成立しそうな価格ではありません。
それで、他の商品とは同じではありません。
実勢価格とは、幅のある価格帯ということもできます。

<h2>公示地価について</h2>
公示地価とは、国土交通省が定めた地点を対象に、地価公示法に基づき、毎年1月1日に、その地点の価格を公示するものです。
そして、毎年3月中旬ごろに発表されます。
土地価格が、一般の人にも分かりやすいように、国土交通省が指標を定めているという言い方もできます。
つまり、当事者間の特殊な事情を除いた自由な取引で、通常成立するであろう客観的な土地価格の目安を定めたものを、公示地価というわけです。
工事価格が公示される標準地は、その地域内の利用状況や環境、形状、面積が標準的であろうと思われる土地を、国土交通省の土地鑑定委員会で決めています。
その他、土地の周辺の状況以外に、電気水道ガス駅までの距離などの状況も加味されています。
それで、土地が小さすぎたり変形したりしている所は、標準地とはなりません。
また、更地の状態としての評価となります。
この公示地価ですが、あくまでも土地の取引の際の指標であり、実際の取引価格とは差が出ます。
例えば、これから取引しようとしている土地が、公示地点よりも駅に近いと土地が高くなり、道幅が狭いと安くなるといった条件を照らし合わせて比較を行い、おおよその土地の価格を判断するということです。
国土交通省は、公示地価の役割を、以下の通り位置付けています。
1.不動産鑑定の基準
2.公共事業用地の取得価格算出の基準
3.土地の総合評価、固定資産税評価についての基準
4.国土利用計画法による土地の価格審査の基準
このように公共用地の取得や固定資産税評価の基準として、また企業会計における資産の時価評価になるなどの役割を持っていることが分かります。

<h2>路線価について</h2>
土地の価値は、面する道路に大きな影響を受けます。
それで、税務署(国税局)が市街地の道路に価格を設定し、その道路に面する土地の評価をすると定めています。
それが、路線価というものです。
路線価は、相続税贈与税を算出する評価額、ということになります。
路線価といえば、一般的には上記の相続税路線価を指しますが、固定資産税路線価というものもあります。
固定資産税路線価とは、土地の固定資産税評価額を決める際の基準となる価格で、市町村が決定し、地方税にあたるものです。
相続税路線価は、公示地価の8割程度が目安とされています。
路線価の決定は、毎年1月1日時点の路線価が、7月に国税庁から発表があります。
公示地価よりも発表が遅いのですが、これは公示地価よりも調査する地点が多いということが原因です。
なお、固定資産税路線価は、固定資産税の評価替えに伴い、3年に1回、1月1日時点の価格が、4月ごろに市町村から発表されます。
公示地価は基準となる標準地のみの公示ですが、路線価は道路ごとに設定されます。
また公示地価はその土地に対する価格が決められるのに対して、路線価は一定の距離を持った路線によって価格決定されます。
路線価は様々な税金の算出のためですが、公示地価の主な目的は土地取引の指標です。

<h2>実勢価格と公示地価の違いについて</h2>
実際に土地が取引されている価格を、実勢価格と言います。
公示地価がその年の1月1日に鑑定と精査を重ねて設定される価格であるのに対し、実勢価格は周辺の過去の取引事例をもとに算出して求められた平均値です。
実勢価格は実際の取引に近い価格、ということになります。
しかし、実勢価格はあくまでも過去の取引事例をもとに算出されていますので、必ずしもこの価格で売れるとか取引されるというものでもありません。
土地の価格は、その時その瞬間、また当事者同士の事情で、価値が変わってきます。
土地の需要によっては価格が大きく左右されることがあり、実際の取引では、公示地価よりも何倍も上回ったり下回ったりします。
実勢価格はリアルタイムな価格で、現在の土地の流動的な生きた価格であるとも言えます。
実勢価格を調べるには、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を利用します。
土地総合情報システムを使うと、日本全国の土地取引の実勢価格を調べることが簡単にできます。
このシステムで調べられることは、土地取引の総額や坪単価、土地の形状、面積、土地の利用目的や前面道路の幅員と種類(公道か私道か)、用途地域建蔽率容積率です。
また過去の取引事例は、4半期ごとに閲覧することが可能です。
実勢価格が簡単に見つかる大都市では、取引価格の算定に参考になりますが、地方など土地取引がほとんどない所では、実勢価格が見つからないという場合もあります。

空き家、空き土地の値段を知りたいという場合に、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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ボロボロの廃屋を欲しい人はいるのか

建物を解体すると、固定資産税は高くなります。
だからといって、そのまま空き家を放置しておくと、どんどん朽ちていきます。
空き家が朽ちてしまってから、いざ貸そうとしたり売ろうとしても、なかなか希望者が見つからないということにもなります。
そんな朽ちた家でも、欲しがる人はいるのでしょうか?
実は案外、廃屋のボロボロの空き家が欲しいという人がいます。
それでは、どういう人なのでしょうか?

<h2>ボロ一戸建て専門の個人不動産投資家</h2>
不動産投資と一口に言っても、いろんなタイプの投資家がいます。
中には、ボロボロの一戸建ての空き家を専門とする個人不動産投資家の方がいます。
そういう方々は、廃屋空き家が売れなくて困っている人にとって見たら、見込み客となってくれる可能性が高いです。
一例としてアマゾンや一般書店では、ボロ物件投資の図書の販売があります。

実際に、空き家投資、ボロ物件投資をテーマとした書籍が刊行されており、それぞれが大きな人気になっているという現状があります。
これらの書籍は、銀行融資が受けられない、または受けたくないということで、まずは現金でこれらの家を買う、という方法を勧めるものとなっています。
一般に、不動産投資というのは、銀行から多額の借り入れを行って、1棟アパートや1棟マンションを買う、または建築するという投資となっています。
しかし、2018年は、「かぼちゃの馬車」というシェアハウス建築に関し、スルガ銀行の不正融資が大きな事件になりました。
その他、西京銀行や西武信金でも、不正融資が問題となり、金融庁の調査が入っています。
そういった金融庁の調査もあって、銀行融資を受けることが厳しくなっています。
こういった収益物件専門の不動産仲介業者でも、廃業若しくは縮小した会社もあります。
それで、今はかなり属性の高い人でないと、不動産投資のローンを借りることは困難となりました。
そのため、不動産投資をしようとしたら、現金で一括購入もしくは多額の頭金を入れて融資、という状態となってきました。
そこで、マンション・アパート1棟買いと比較すると、圧倒的に格安で購入できる一戸建て物件、わけても割安な廃墟のような空き家物件に、注目が集まっています。

<h2>どういう取引になるのか</h2>
1つポイントとなることがあります。
こういった廃墟のような一戸建て住宅を購入したいという人は、圧倒的な安い値段で購入したいと考えている、ということです。
つまり、ボロボロの一戸建て住宅を安く購入して、激安な料金でリフォームしたり、または自分でDIYしてみたりして、安く物件再生をします。
そして、客付けをして、利益確保をする、という方法を取っている、ということです。
それで、高く売れるのを期待できるというわけではありません。
少なくとも、建物の価格は考えず、土地でも路線価よりも安い価格、相場よりも安い価格でないと、交渉のテーブルに乗るのは困難になります。
どうしても高く売りたい、という人にとって見れば、こういう投資家に売るのは困難な方法とも言えます。
しかし、路線価よりも安い価格で売る、という決心がつけば、かなりの確率で購入者が現れる、ということにもなります。
こういった廃墟になるような不動産は、負動産とも言われます。
負動産は、固定資産税、都市計画税を払わないといけません。
土地の相場は下がることがあっても、上がることはありません。
放置しておくと、建物はどんどん朽ちていきます。
空き家の管理費用もかかります。
不法侵入や放火もあり得ます。
こういった住宅になりますと、負動産になってしまいます。
それなら、安い価格でいいから、1日でも早く手放してしまい、負担を解消するという方法を取ることになります。
激安価格になりますと、ほとんどの空き家の売買は現金決済となります。
現金決済ですと、オーナー側にしてみたら売却に必要な期間や作業が大きく減少しますので、助かります。
また、不動産会社にしてみても、融資流れ等のリスクも少なくなり、ありがたいと言えます。

<h2>どうアプローチするのか</h2>
ほとんどの個人不動産投資家は、不動産会社もしくはウェブサイト経由で空き家をリサーチしています。
それで、空き家所有者としては、下記の方法でアプローチを行うことができます。
1.売買仲介を得意とする不動産会社に頼む
2.個人不動産投資家に直接アプローチする
3.投資用不動産紹介サイト(楽待、健美屋など)への掲載をする
まず、仲介依頼や不動産紹介サイトへの掲載は、単純に仲介業者に依頼をするだけといえます。
仲介業者でも、普通の仲介業者(大手も中小も)もあれば、投資用不動産専門の仲介業者もありますので、両方に依頼をすることもできます。
2.ですが、ブログやSNSで情報発信をしている不動産投資家が多数いますので、その方に直接連絡を入れてみる、ということになります。

<h2>どういう空き家が売れやすいのか</h2>
こういった個人不動産投資家は、どういう特徴のある物件を探しているのでしょうか?
大まかには次の通りとなります。
1.路線価よりも安い価格で販売されている
2.極端な過疎地域ではなく、客付けが可能な地区にあること
3.隣近所に危険な人が住んでいないこと
4.傾きなど、躯体にガタが来ていないこと
これらの条件を満たしていれば、価格次第でどんな物件でも売れていく、ということになります。
再建築不可や借地権など不利な条件であっても、その分安くすれば、販売が可能になります。

空き家をどうやって売ったらいいのか、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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空き家を売るのと貸すのと、どちらが良いか

空き家を放置しておくと、様々な問題が生じます。
管理だけ委託するにしても、管理費がかかります。
また売るか貸すか、自分で使うのかは、空き家が増加していく現代においては、問題を先送りしているだけとも言えます。
それで、売るか貸すかは、空き家の所有者が決めないといけません。
では、売るか貸すか、どちらが良いのでしょうか?
どちらにしても、メリットもあればデメリットもあります。
それで、個々の状況に応じた判断をすることが必要になります。

<h2>空き家を売る場合</h2>
空き家を売るメリットとしては、いっぺんにまとまった資金が入ってくる、ということが挙げられます。
但し、その売却した金額がまるまる自分の手取りとなるわけではありません。
譲渡所得に対しては譲渡所得税がかかってきます。
平成28年(2016年)年度の税制改正において、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」といって、条件を満たせば3000万円の特別控除を受けることができるようになりました。
この特別控除を受けることができたら、空き家の売却益が3000万円以下であれば、税金が課税されないというわけです。
従来、3000万円の特別控除を受けるためには、所有者がそこに住んでいた家や土地を売る場合、という条件が付いていました。
それが、増加する空き家問題への対処として、自ら住んでいなかった空き家であっても、条件を満たせば、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の3000万円の特別控除が受けられるようになりました。
この適用条件は下記の通りです。
1.1981年(昭和56年)以前に建築された家(旧耐震基準で建てられた家)
2.相続する前、亡くなった人が一人で住んでいた家
3.相続した時から譲渡(売却)まで賃貸などに使われていないこと
4.新耐震基準に適合する家にして売却するか、家を解体して土地だけ売却する場合
5.譲渡(売却)期間は、2016年(平成28年)4月1日から、2019年12月31日まで
6.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡(売却)したもの
この4.について、工事には費用が必要ですが、解体や工事に国や自治体の補助金が使える場合もあり、これは調べたり問い合わせたりすることができます。
また、隣接住民への対応や草刈りなどの日々の管理面えの気苦労、また固定資産税の支払といった必要もなく、売却先が見つかりさえすれば、手間や手離れは一番少ない方法といえます。
一方デメリットとしては、売却先がなかなか見つからない、ということがあります。
立地条件が良ければ、隣地の方や知り合いで購入希望者を見つけるのは容易かもしれないが、特に交通アクセスや買い物の不便な場所での空き家の売却の場合、売りたくても売れないケースも多々あります。
不動産業者を通して売却する場合は、(住宅価格の3%+6万円)×1.08(消費税)の仲介手数料が必要ですし、不便な場所で売るのは、不動産業者でさえ売却先を探すのは容易ではないということがあります。
また更地にしてから売る場合は、家を解体するには解体費用が必要になります。
また更地にして土地だけにするという場合、固定資産税が最大4.2倍に増えてしまいます。
空き家をお金を払って解体したのに、売却できない場合、翌年から税金が大幅に増えるということもあり、空き家のまま放置されてしまうということにもなっています。
このように、空き家を売るのはけっこうなお金が動くことを念頭に置いておくことが大切と言えます。

<h2>空き家を貸す場合</h2>
空き家を貸す場合のメリットは、空き家にしておくだけでは入ってこなかったお金、つまり賃料収入を確保できるという点にあります。
長期的に安定して賃貸できたら、売却するより手取り収入が多くなるということもあります。
また、空き家を売る場合は、資産である空き家を手放すことになりますが、空き家を貸す場合は、資産を保有し続けることができます。
それで、親の住んでいた実家を一旦賃貸に回して、それで将来自分や子供、孫などが住むという可能性を残せることになります。
一方デメリットとしては、どうしても手入れが必要なため、リフォーム費用がかさむということがあります。
短期間でも空き家になっていた物件は、人が住んでいるときに比べて劣化が早く、大規模リフォームを行わないと貸せないケースもあります。
また無事に入居者が決まっても、家賃滞納などのトラブルが発生し、それらの対応に悩まされる可能性もあります。
現在は家賃保証会社もありますが、滞納をいつまでも放置できるわけではありません。
また、一旦入居者が引っ越し、次の入居者がなかなか決まらず空室状態が続くと、家賃収入が得られず、空き家の状態と同じになります。
初期投資としてリフォーム費用をかけたものの、当てにしていた収入はほとんど入ってこなかったということにもなりえます。
また家を貸すということは、賃貸物件を所有することになりますので、もし事業的な規模である場合には、不動産収入という家賃を得る個人事業主となります。
そのため、開業日から1か月以内に、「個人事業主の開業・廃業等届出書」を管轄税務署に提出し、所得税などの税金を納めるための準備が必要となります。
また、青色申告承諾申請書は、開業日から2か月以内に提出、また青色事業専従者給与額を必要金額に定める年の3月15日までに、専従者給与の届出書を提出する必要もあります。
また、確定申告に向けて、収入や経費の帳簿記載が必要になります。
それも、自営業なら普通に行っていることですが、それが本職がサラリーマン等ですと、負担になるのかもしれません。


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空き家バンクとリフォーム補助金について

空き家をリフォームすると、すぐに100万円単位になってしまいます。
入居者としては、そんなリフォームに多額の費用をかけるよりも、新築マンションやアパートに入居するということになります。
新築マンションアパート等も、いまは各地で供給過剰に陥っており、家賃も安くなっています。
そうなると、空き家がたくさんできてしまうという問題になります。
それで、空き家を使ってもらうために、いろいろな制度ができています。

<h2>自治体のリフォーム補助金について</h2>
一例として大阪府高石市では、高石市空き家対策補助制度というものを定めています。
高石市空き家バンク制度で成約された登録物件を、売却、購入又は賃貸借するという場合に使えます。
そのリフォーム費用の一部を補助して費用負担を軽減することで、空き家の有効活用、定住促進及び地域活性化を図る、という制度趣旨です。
対象者と内容としては、
1.不要物を撤去する売却者。
これは更地にして売却する場合。
2.空き家バンクを利用して賃貸借契約をして借りる借主が、仲介手数料費用の補助が最大5万円ある。
3.空き家バンクを利用して空き家を購入して改修する購入者。
リフォーム費用を最大30万円補助がある。
4.空き家バンクを利用して空き家購入して、登記費用、仲介手数料、引っ越し費用を最大20万円補助。
なお義務教育終了前の子供を扶養している世帯には、最大30万円の補助がある。
こういった内容となっています。
詳細は高石市役所空き家・住宅政策係で調べることができます。

www.city.takaishi.lg.jp


同様の、空き家バンクを利用して、住宅のリフォーム費用や売買費用を賄うことができる、という制度は、他の市町村にも散見されます。

ayabe-c26203.akiya-athome.jp

<h2>空き家バンクについて</h2>
このように多くの自治体で、空き家バンクを、空き家リフォーム補助金の受給要件としています。
空き家バンクとは、市町村が中心となって居住者のいない家を活用し、地域振興などにつなげるために、空き家を紹介する制度です。
平成27年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」が施行されたために、全国で取り組みが行われるようになりました。
それで、各自治体で行われている各種助成金制度などの優遇措置と密接な関係があります。
空き家が老朽化して、周囲の生活環境に悪影響を及ぼす前に、所有者は家を修繕して資産価値を高めて、売却したり賃貸したりする物件として、空き家バンクに登録することが求められているのです。
空き家バンク登録物件は、不動産業者に管理委託されるため、所有者が一定金額を払うことにより、空き家管理サービスを受けることができるようになります。
また、空き家バンクを運営する自治体は、ほとんど専用サイトを設けて情報発信していることから、買い手や借り手を幅広く全国から募ることができるようになります。
空き家を借りたい人の中には、NPO法人の活動拠点、デイサービス施設、保育施設等のさまざまなニーズがあるため、地域活性化にもなります。
しかし、この仕組みはおおむねうまくいっているとも言えないようです。
この一連のサイトでも、詳細に説明している通り、空き家は、売るのも貸すのも困難だから空き家になっているのです。
それを役所のサイトに載せただけでは、そんなに関心を持ってもらえないというわけです。
運よく買主や借主が見つかっても、手続を行うのは民間事業者です。
10万円とかの家の売買の仲介手数料などたかが知れています。
それに、古くて老朽化していて雨漏りとかシロアリの出そうな家だと、仲介責任が問われるリスクも高く、不動産業者から尻込みされてしまいます。
このように、空き家バンクだけでは、空き家を解消するには難しい、とも言えます。

<h2>その他の補助金や公的助成について</h2>
住宅リフォームをするにあたって、リフォーム工事の内容によっては、国や地方自治体、法制度からの補助金を受け取れる場合があります。
おもな補助制度としては、耐震改修や省エネ改修の他に、介護保険法に基づく住宅改修(最大18万円)や、長期優良リフォーム補助制度(最大200万円)があります。
ただし、これらの補助は、自分で居住する住宅に限られることがほとんどです。
また、一定の性能向上リフォーム工事を行う場合、建築主は税制面での優遇措置を受けることができます。
具体的には、以下の3つがあります。
1.耐震
2.バリアフリー
3.省エネ
いずれも、一定の条件を満たせば、所得税の控除や固定資産税の減額措置を受けることができます。
また、上記の補助金や助成制度と組み合わせて利用することもできます。
また、所得税の控除には、投資型減税とローン型減税があり、ローン型減税は、リフォームローンを組むことが条件で、自ら居住する住宅である必要があります。
固定資産税の減額も、耐震、バリアフリー、省エネリフォームで受けることができます。
いずれも、確定申告で手続きを行うことで、減税措置が適用となります。
それぞれに適用条件や控除率、控除期間などが細かく定められています。

空き家のリフォームするための地方自治体の補助金申請や空き家バンク掲載についても、申請手続が必要ですし、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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空き家をリフォームするための国の補助金

空き家をそのまま放置すると、倒壊したりして、ご近所迷惑になります。
また犯罪のリスクも高まるため、大きな社会的問題となってきています。
対処方法として大きく分けて2種類あり、直して活用するか解体するか、ということになります。
ただ、リフォームにも100万円単位の費用がかかるという問題があります。
それで、空き家をリフォームするために、自治体だけでなく国も、補助金の制度を定めています。

<h2>住宅セーフティーネット制度について</h2>

平成29年4月に、住宅セーフティネット法の改正法が公布されています。
そしてこの法律は、同年10月25日に施行されています。
これは、民間賃貸住宅や空き家を活用した「新たな住宅セーフティネット制度」であり、その制度がが本格的に始まっているというわけです。
住宅セーフティーネットとは、住宅難に陥りやすい高齢者、低額所得者、子育て世帯等について、そういった住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を登録するという制度のことです。
そして、空き家をリフォームする際に、政府が補助金を交付する、ということです。
その金額は、最大100万円となります。
具体的には、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業として、下記の額の補助金となります。
1.専用住宅の整備に係る改修工事に要する費用の1/3以内の額(補助限度額:50万円/戸)
2.耐震改修工事、共同居住用住居に用途変更するための改修工事、又は間取り変更工事を実施する場合は、50万円/戸を加算
この制度を利用するにもいくつかの条件があり、その条件を満たす必要があります。
確かに煩雑な面もありますが、この制度を利用することによって、空き家対策にかかるコストを低く抑えることができるため、使えるなら使いたいものです。

<h2>補助工事の内容について</h2>

補助対象の住宅の入居者は、住宅確保要配慮者であり、具体的には高齢者や障害者、低所得者のような方たちです。
こういった方々は、賃貸住宅に入居しようとしても断られるケースが多いです。
そして、この補助金は、賃貸住宅入居を断られることを少なくするためにある制度で、住宅確保要配慮者の生活水準の確保を目的としています。
そのため、工事内容も最低限の生活環境を実現するものが中心となります。
具体的には、下記の工事になります。
1.耐震改修工事
2.間取り変更工事(狭い部屋を基準を満たす部屋に拡張するなど)
3.バリアフリー工事
4.インスペクションにより明らかになった工事
5.その他、住宅確保要配慮者居住支援協議会が認める工事
なお、工事内容には、耐震改修工事、バリアフリー工事、省エネルギー改修工事のどれか1つを含む必要があります。
空き家所有者にとっては、通常よりも大幅に安い費用でリフォームできるのが大きなメリットです。
このリフォームにより、借り手が見つかりやすくなり、空き家を有効に活用することができます。
ただし、この空き家は、3ヶ月以上空いているとか、居住面積25平方メートル以上である、要配慮者向けとして対象物件の登録を行う、補助を受けて10年間は他の入居付けを行わない、入居者月収38.7万円以下であるなどが必要です。
こういう制度は、空き家をリフォームして活用したい人には魅力的なものであり、また一度検討する価値はあるかと思います。

空き家のリフォームするための国の補助金等ついても、申請手続が必要ですし、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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空き家跡地をコインパーキングとして運用する方法

前回、空き家跡地を月極駐車場として運用する方法について考えました。
次はコインパーキングとして運用する方法について検討をします。
それぞれのメリット、デメリットを検討をします。

<h2>コインパーキングの収益</h2>

コインパーキング運営の特徴は、駐車ユニットや駐車場代精算ユニットなどの設備費用が高いものの、収益性が良いということがあります。
また月極駐車場の特徴は、利益が低くなるものの、特殊な設備は一切不要なので、コインパーキングよりも圧倒的に低リスクであるということがあります。
駐車場設備機器の製造・販売の株式会社アイテック(本社・東京都文京区)は、両者の車1台分の収益モデルを紹介しています。
車1台分の収益モデル
1.月極駐車場  1台1ヶ月2万円(京都市中心部など)
想定月次売上  20,000円
2.コインパーキング
日中16時間を1時間200円で貸す
夜間の8時間を1時間100円で貸す
日中12時間、夜間3時間稼働したとすると、1日2,700円売り上げ。
想定月次売上(30日)  81,000円
上記想定を見てわかるように、月61,000円の開きがあります。
これがもし10台収容できる駐車場ですと、月額61万円も開き、年間732万円も差が出ます。
計算式
月極駐車場 月20,000円×10台×12か月=240万円/年
コインパーキング 月81,000円×10台×12か月=972万円/年

<h2>専用の機材が必要</h2>

コインパーキングは劇的に収入が上がりますが、それには専門の機材が必要です。
例えば、名古屋市の駐車場サービス会社の名城企画株式会社が販売している「フラップ式駐車場機材」の価格は、10台分、工事費込みで360万円となっています。
フラップ式とは、駐車場に低い台のような機材を設置して、そこを乗り越えると金属の板が持ち上がってロックを書けるという装置です。
フラップ式を進化させたカメラ式ロックレス駐車場機材は、400万円となっています。
それに対して、月極駐車場はいずれの機材も不要ですので、初期投資は圧倒的に低く済みます。
これらをまとめまして、土地の整備費を含めないで、車10台分の駐車場の初期投資は以下の通りとなります。
1.月極駐車場 0円
2.コインパーキング 360-400万円

<h2>駐車場サービス会社に土地を預けるメリット・デメリット</h2>

コインパーキングを行う場合に、駐車場サービス会社に初期整備から月々の運営まですべてを任せてしまうことが多くあります。
この駐車場サービス会社のビジネスモデルはとても簡単です。
まず、空き家の所有者は、空き家を撤去して、その土地を駐車場サービス会社に預けます。
次に駐車場サービス会社は、その土地にコインパーキング設備を整え、管理から集金までを行います。
土地の所有者は、駐車場サービス会社から毎月使用量をもらいます。
この方法ですと、土地の所有者がしないといけないことはほとんどありません。
メリットとしてまとめてみると下記の通りです。
1.何もしなくても収入が入る
2.リスクは最も小さい
3.初期投資は0円、借入金は不要
デメリットは、下記の通りとなります。
1.駐車場サービス会社から手数料が弾かれる。実質的に駐車場サービス会社に運営費を支払う形になる
2.土地活用パフォーマンスとしては最小となる
個々での説明として、土地活用パフォーマンスが最小、ということですが、これは、小さい儲けの商売がさらに小さくなることを意味します。
つまり、駐車場経営はただでさえアパートマンション経営よりも土地活用パフォーマンスが低い、つまりもうけが少ないのに、駐車場サービス会社から手数料を引かれますと、さらにパフォーマンスが悪化してしまう、ということです。
それで、収支計算を事前にしっかり行っておかないと、ただ同然で土地を他人である駐車場サービス会社に貸してるようなもんだ、ということになります。

<h2>おもな駐車場サービス会社のビジネスモデルの仕組み</h2>

まずは、黄色い看板のタイムズ24です。
土地の所有者はまず、タイムズ24と土地の賃貸借契約を結びます。
その後、タイムズ24が駐車場機材等を設置して、運営を開始します。
タイムズ24は、土地オーナーに対し、毎月使用料を支払います。
その使用料は定額であり、定額の賃料ということになります。

次に三井のリパークです。
三井のリパークの仕組みも、タイムズ24とほぼ同じです。
ただ違うのが、将来的に住宅建設を予定している土地でも、駐車場経営開始がOKとなっているところです。
空き家の所有者が、いずれ空き家を取り壊して新しい住宅を建てたいと考えているとします。
しかし、新しい住宅を建てるまでに期間が空いてしまうと、土地をただ遊ばせるだけとなります。
こういう時に、三井のリパークに土地を貸したら、遊ばせるよりも収入がある、ということになります。
もちろん、新しい住宅を建てるときには、撤退することになります。
いずれにしても、その土地の立地条件や形状等を判断しつつ、月極にするのかコインパーキングにするのか、またコインパーキングはどの会社に依頼するのか、決めていくことができます。

空き家を解体してコインパーキングにした方がいいのかどうか、月極にするのかコインパーキングにするのか、またどうやってコインパーキング経営をしていくかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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空き家跡地を駐車場として運用する方法

巷では、コインパーキング事業が流行っています。
それで、空き家を解体した跡地もコインパーキングや月極駐車場にできるのでは、と思うかもしれません。
しかし、駐車場経営も投資の一種ですので、リスクとリターンをしっかり考えて決断しないと、利益が出ないということになりかねません。

<h2>駐車場にするメリット</h2>

駐車場経営を行うメリットは数多くあります。
まず、不動産投資の中で、駐車場経営は初期投資額が小さいので、事業資金はそれほどかからない、ということがあります。
つまり参入障壁は小さいということになります。
すでに土地付き空き家があるのなら、あとは空き家を解体して更地にしてしまったら、あとは簡単な設備を置くだけで、駐車場経営を始めることができます。
月極駐車場や、「野ざらし式の一時駐車場」なら、都市部のコインパーキングのような自動徴収式の駐車管理ユニットでさえ導入する必要はありません。
これは、本当に更地のままで利益を生み出せる手段であると言えます。
駐車場ビジネスで経費が発生するのは、基本的には空き家の撤去費用、整地、アスファルト敷設、フェンスとなります。
まず空き家の解体ですが、木造住宅の解体費用は、1坪あたり6千から1万円程度ですので、延べ床面積が100㎡の場合、60-100万円はかかります。
金額に開きがありますが、高くなる要因は、作業が大変になる夏場や人手が足りなくなる繁忙期に作業を行ったり、空き家のある土地が大型重機が使えない場合(路地奥など)が挙げられます。
次に整地費用ですが、掘削や残土の処分、地盤を固める作業があり、総額およそ1㎡あたり2,000-2,500円程度です。
敷地面積が100㎡ですと、20-25万円となります。
アスファルト敷設費用ですが、基礎を作ったうえでアスファルトを敷設することになります。
これは1㎡あたり5000円ですので、敷地面積が100㎡ですと、50万円かかる、ということになります。
最後にフェンス設置工事費用ですが、最も安いもので1mあたり1万円ほどします。
それで100㎡の土地が、たて10m横10mの正方形としますと、3辺に設置しますと30万円ということになります。
また、月極駐車場ですと、駐車場法が関係しますが、500㎡以上の駐車場で、時間貸の駐車料金ですと、市役所への届出が必要です。
それ以外は市への届出も必要なく、規制は緩いという特徴があります。
また一般的な商売よりも半分以下の手間ですむので、経営に必要な工数が非常に少ない、という特徴があります。
従業員を雇用する必要はありません。
契約して、代金を受け取り、税金を支払うのが基本の作業となります。
管理会社や常駐管理人すら必要はありません。
つまり、無人管理のため、従業員の人件費、顧客の管理が不要ということになります。
例えば貸家にすると、家賃滞納者や反社会的勢力といった不良入居者との対応に苦労しますが、駐車場経営については、こうした煩わしい顧客管理業務がありません。
また更地にしてアパートマンションを建てるなどになりますと、建築士や施工業者、行政書士など多くの人が関わって、大変なことになりますが、駐車場経営はそういうことがありません。
また、駐車場経営は初期投資額が少ないので、万が一事業を撤退してもリスクが小さいという利点があります。
つまり、失敗した時に必要なコストがとても低いため、オーナー個人の人生まで大きく毀損することがありません。

<h2>駐車場にするデメリット</h2>

上記の数多くのメリットの反面、駐車場経営に伴うデメリットもあります。
まず、住宅が建っていることで土地の固定資産税が6分の1になりますが、建物がなくなるために固定資産税の減税が無効になることで、税金が高くなるということが挙げられます。
つまり、更地にして増税した分を駐車場経営で取り戻せないと、実質赤字になるということになります。
また、撤退戦略は簡単ですが、駐車場経営から撤退した後どうするかが難しいということがあります。
駐車場経営が失敗した後の空き地の利用について、すでに整地でたくさんの費用をつぎ込んでしまったため、売却の適正価格はさらに値上がりしてしまうことになります。
つまり、心理的にますますその土地を売ることをしにくくなるので、高い固定資産税を払い続けることにもなりかねません。
また、駐車場はアパートマンション経営と比べて、収入が少ないという点があります。
駐車場経営は、土地活用のパフォーマンスがとにかく低いビジネスということになっています。
アパートマンション経営は、駐車場経営の4倍儲かると言われています。
それで、アパートやマンションの経営と比較して、収入は低くなるという問題点はあります。
しかし、再建築不可などで、駐車場としなければ活用できない、または家をそのまま残して修繕して賃貸、という方法しかない場合は、有効な手段であるともいえます。
また、車離れという経済変動リスクがあります。
駐車場は車を置く場所ですので、車が減ってしまったら駐車場経営は立ち行かなくなります。
現在の日本は、人口そのものが減少しています。
加えて、高齢化社会で、認知症の方の自動車事故の増加で、高齢者が自家用車を手放す機運が高くなっています。
さらに、付近でライバルも同じように駐車場経営をするかもしれず、その競争も発生します。
それで、競合となる駐車場の稼働状況リサーチを必ず検討課題にする必要があります。
コインパーキングについては、次回記します。

空き家を解体して駐車場経営にした方がいいのかどうか、どうやって駐車場経営していくかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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信託を使って空き家を運用する方法

最近、相続対策として家族信託ということが言われるようになってきました。
では、信託とはどういうものでしょうか?

<h2>信託とは</h2>

信託とは、その言葉の通り、信じて自己の財産を託すということです。
託す人のことを委託者、託される人のことを受託者、信託から利益を受ける人のことを受益者と言います。
信託法では、信託の定義として、第2条第1項において、
1.信託契約をする方法
2.遺言による方法
3.自己信託による方法
このいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く)に従い、財産の管理または処分、及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をなすべきもの、ということになっています。
つまり、空き家や空き土地のような財産を持っている人が、第三者に所有権を移転し、その収入を委託者の指定する人に支払う、という仕組みです。
財産を預ける人、管理する人、さらには収入を得る人がそれぞれ異なる、というのが信託の仕組みになります。
信託は、自分が財産を管理するのが難しい時、例えば老後の管理が難しい時を想定して、不動産管理を任せたり、また相続対策に有効な方法として注目されています。

<h2>不動産信託と信託受益権</h2>

信託受益権とは、簡単に言うと、不動産から得られる利益を得る権利です。
通常の不動産売買では、所有権も移動し、不動産から得られる収益も買主のものになります。
しかし、不動産信託の場合は、信託を任された個人や信託会社と、利益を得る受益者が異なることがあります。
これが信託受益権というもので、相続対策等で信託受益権が他の人に譲渡されるということもあります。
また流れとしては、信託契約や委託者の遺言、公正証書等により、委託者は受託者に対して信託契約を締結する、ということになります。
この信託行為によって、受託者が委託者の意向に沿って、所有権を移転された不動産を管理する、または処分したり、その他の目的に沿って必要な管理をしていきます。

<h2>不動産信託のメリットとデメリット</h2>

不動産信託をするメリットとして、不動産の流通にかかるコストが安くなる、ということが多くあります。
不動産売買の時には多額の金額が動き、コストもかかります。
中でも税金が、買主売主の双方にとって負担になります。
不動産信託を用いて相続等をすると、贈与税が非課税になる場合があるなど、税務上でのメリットがあります。
一方デメリットもあり、信託会社や個人に管理が任されている以上、常に利益が発生するとも限らない、ということがあります。
このデメリットを少なくするには、信頼できる受託者、信託会社を選ぶしかありません。

<h2>信託の方法について</h2>

信託は、信託法第3条により、次のいずれかの方法で行います。
1.信託契約を締結する方法
2.遺言による方法
3.自己信託による方法
まず信託契約を締結する方法ですが、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間で行う契約です。
この内容は、財産の譲渡、担保権の設定その他財産の処分をする旨、並びに受託者となるべき者が、一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。)に従い、財産の管理、処分、その他必要な行為をするという内容の契約です。
この場合、受益者は信託契約の当事者ではありません。
また、信託契約の効力を生じるために、実際の財産の移転等は必要ではなく、委託者と受託者との間の信託契約の締結により、契約の効力が発生します。
次に遺言による方法ですが、遺言をする人は、遺言により受託者を指定して、受託者に一定の目的に従い財産の管理、処分また必要な行為を行う旨を命じるということです。
遺言の形式については指定していないため、民法第960条以下の遺言の方式に従うことになります。
最後に自己信託ですが、これは委託者が自ら受託者となる委託のことであり、委託者が自己の財産を他人のために管理処分する旨を宣言(信託宣言)することによって、信託を設定することです。
内容として必要な事柄は、以下の通りです。
1.信託の目的
2.信託をする財産を特定するために必要な事項
3.自己信託をする者の氏名又は名称及び住所
4.受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む)
5.信託財産に属する財産の管理又は処分の方法
6.信託行為に条件又は期限を付するときは、条件又は期限に関する定め
7.終了する事由
8.上記各事項の他、信託の条項を記載したものによってする方法

<h2>家族に不動産を信託したらどうなるか</h2>

まず、信託では受益者課税の原則というのがあります。
つまり、実際に利益を受け取る受益者に課税される、という原則です。
家族信託をしても、受益者に対して課税されるということに変化はありません。
また、不動産の名義を委託者から受託者に変更しますので、登記の時に登録免許税が課税されます。
これは、売買の時の5分の1となり、税負担は少なくなります。
また不動産は受託者の名義であるため、固定資産税の支払請求も受託者に届きます。
しかし実際の所有者は受益者であるので、信託不動産の管理費用として信託財産から拠出することが許されているので、受益者が負担する形になります。
また、その資産を生前の段階で信託をしておくと、後に管理が難しくなったり認知症を発症して判断不能になっても、財産管理を受託者に任せておくことができます。
高齢化社会になっている現在は、認知症のリスクも大きいため、生前の家族信託は、スムーズに手続きをしておくために注目されています。
信託する側としても、生前にどのような信託をするのかを決定できるので、財産の継承に安心感が持てます。
つまり、空き家の処分に際して、生前に家族信託を使えば、安心して老後生活を送ることができるので、生前の家族信託は勧められる方法となっています。

財産の継承や不動産信託、家族信託についても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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リフォームなしでもすぐ売れる空き家


空き家が何らかの理由で貸せない、となりますと、売るしかないというわけです。
しかし、売りやすい空き家もあれば、売りにくい空き家もあります。
リフォームしないと売れない空き家もあり、前回も記した通りです。
しかし、リフォームしなくても売れる空き家であるなら、もちろんそうしたほうが良いと言えます
少しくらい設備が古くても、利便性の高い立地にある空き家だと、売りやすいとも言えます。
それで今回は、リフォームしなくても売れる空き家とはどういうものかを記していきたいと思います。
リフォームなしでも売れる空き家の条件です。
1.生活に便利
2.立地が通勤・通学に便利
3.敷地面積や延べ床面積が十分
4.一般的な間取り
5.築年数が浅い
6.建物や内装がきれい
7.日当たり良好
8.前面道路に十分な余裕がある
9.閑静な住宅街にある
10駐車場がある
それぞれの詳細を説明します。

<h2>立地条件</h2>

上記1.2について、最近の住宅選びは立地がほぼすべてになってきます。
スーパーやコンビニ、郵便局、銀行、役所、保育園などの施設が物件周辺にあると、その物件の強みになります。
確かにスーパーが近いとか、銀行や役所が近いと、生活がしやすくなるので、便利に暮らせるということで購入希望につながります。
また、通勤・通学を考えると、電車の駅やバス停が近いと、便利になります。
駅15分以内だとまだ売れますが、20分などとなりますと、売れ残ったりします。
ただし、学生だとコンビニが近い。高齢者だとバス停〇分など、内覧者によってアピールポイントが異なるため、不動産会社に、アピールポイントを変えてもらうよう頼んでみることができます。
逆に、付近にラブホテルとかお墓のような嫌悪施設があれば、安く売られたり売れ残ったりします。

<h2>面積と間取り</h2>

人が住むためには、1人8坪つまり26.4㎡が必要になると言われています。
この計算で行きますと、2人16坪、3人24坪、4人家族だと32坪つまり105.6㎡の敷地面積があれば、快適な生活ができます。
少し余裕を持ちますと、1人あたり10坪、33.3㎡ありますと、かなり余裕のある家となります。
また、注文住宅ですと、しばしば個性的な間取りの住宅になることがありますが、そういう間取りですと、使い勝手の面から売りにくい住宅となってしまいます。
一般的な間取りを一般的に言いますと、こういったものです。
3LDK(1階LDK+2階3部屋)
4LDK(1階LDK+和室1部屋、2階3部屋)
こういう間取りが一般的に好まれるので、かけ離れているといざ売却となった時に売りにくい、ということになります。

<h2>新しくきれい</h2>

不動産が高く売れる要因の1つは、築浅、つまり建築から9年くらいまでである、ということです。
家の築年数が浅いと、それだけでアピールになるので、不動産会社は物件資料などでPRをしてくれます。
また、物件があまりにも汚いと、買い手はつきにくくなります。
その点について、購入者はまず水回りをチェックすると言われています。
特に女性は、キッチン周りの使い勝手や、きれいさや動線を気にするということです。
とにかく、きれいにして売り出すことが大切といえます。
また、日当たりについて、1日日が当たらない物件よりも、日が良く入ってくる明るい家の方が人気があります。
南向きが良いのですが、東向きや北向きでも日の入り方によっては人気物件となります。
他の条件が悪くても、日当たりが良いということで、売却が決まることもあり、重要なポイントといえます。
日当たりの悪い部屋では、内覧時は電気をつけるとかカーテン開けて明るく見せるなどもできます。

<h2>道路と駐車場</h2>

地方だと、自動車交通が当たり前となっているため、家の前に駐車場があるかどうかは特に重要な要素となります。
都市部でも、駅から離れているのに駐車場がなければ不便ですし、2台置きたいのに1台しかなければ、別に1台分の駐車場を借りないといけないので、敬遠されてしまいます。
また、家に面している道路も、道幅4m以下ですと、家に駐車場があっても切り返し切り返しで車庫入れということになり、厳しい状況です。
どこかにぶつけてしまうかもしれません。
できたら、道幅5m以上あり、かつ車通りの少ない道路沿いの物件なら、車を保有している家庭に売りやすいということです。
また、大通りに面している物件より、大通りより少し中に入った静かな土地や住宅街の方が人気になります。
これは、特に年配の方には魅力的に映るようで、閑静な住宅街にある物件は、それだけで評価が出てきます。

<h2>リフォームするかそのまま売るか</h2>

先程のリフォームなしで売れる家の条件に当てはまらない場合、手を加えたほうが売れることが増えます。
しかし、リフォームには資金が必要であり、またリフォームをしてしまった場合、元には戻せませんので、リフォームの必要のないお客様を逃すかもしれません。
それで、まずは不動産会社に相談をしたうえで、適切な判断をするということになります。

リフォームをするのかしないのか、またどういうリフォームにするかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
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市街化調整区域の空き家を売る場合

市街化調整区域は厳しい規制があり、新規の建物は建てられないことが多いです。
それで、市街化調整区域の空き家を売ろうとしても、現実にはなかなか売れないということになります。
しかし、下記の方法を行うことによって、安全、確実に売却することができます。

<h2>市街化調整区域とはどういう所か</h2>

都道府県や市町村などの地方自治体は、自治体のすべての区域を「都市計画区域」と「それ以外」に分けています。
そして自治体が規制しているのは、都市計画区域に指定した土地です。
京都府亀岡市の周縁部のように、それ以外となる都市計画区域外という区域が、バブル期に住宅開発が行われたが、上下水道等の生活基盤が十分に整備されていない住宅地も見られます。
さて、その「都市計画区域」には2種類あり、「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられます。
これらの違いは、規制の強さになります。
つまり、市街化調整区域の方が、規制が格段に強くなるということです。
お市街化区域でも、規制がないわけではなく、規制が緩い、というだけです。
市街化調整区域の規制はかなり強いのですが、それは自治体側が、そこにおいては経済活動や住民の居住をなるべく抑えようとしている、ということです。
逆に、経済活動や居住は、なるべく市街化区域で行ってほしい、ということになります。
そして、これらの区域の区分けのことを「線引き」といいます。
地図上に線を引くというイメージです。
そして、市街化調整区域は、わざと人々が住みにくいと感じるようにした土地、ということになります。
その市街化調整区域にある住宅は、住みにくいことが分かっているので、住みにくい、ということになります。
その他にも、融資が付きにくい、不動産仲介会社が仲介するのを嫌がる、また購入希望者が相場以上に安く買おうとするといった問題があります。
ただ、だれもが嫌がる立地、というわけではなく、そこに事情や好みで住みたい、という人もいます。
つまり、居住希望者がとても少ないというわけではなく、0ではない、つまり工夫や知恵で売ることができる、最悪の場合でも値段を下げたら売れる、ということになります。

<h2>太陽光発電をしたい人に売る</h2>

建築物でなければ、市街化調整区域内に建てることはできます。
国土交通省は、太陽光発電設備について、建築基準法上の規制を受ける工作物でも、建築物でもないという見解を示しています。
それで、太陽光発電設備は建てることができる、ということになります。
太陽光発電を手掛ける企業は、全国の遊休地を探しています。
それで、市街化調整区域にある空き家をそういった企業に売ることは、空き家を売るには最も確実な解決策となります。

<h2>行政の規制緩和の流れに乗る</h2>

市街化調整区域は、その区域内での農業や漁業を守るために、開発を抑制するという趣旨で設定されています。
また、市街地の無秩序な拡大を抑制するという目的もあります。
しかし、今や地方はどんどん過疎化して、若者が流出して衰退する一方となりました。
限界集落という用語まで出てきました。
それで、市街化調整区域での規制は緩和される傾向となっています。
例えば、奈良県香芝市における規制緩和は、次のリンクの通りです。

http://www.city.kashiba.lg.jp/business/0000004675.html


産業の活性化、地域の活性化のために規制緩和を行っているということです。
また、滋賀県甲賀市でも、規制緩和を行っています。

www.city.koka.lg.jp


水口地域、甲賀地域、甲南地域において、自己居住用の住宅を建てることができます。

<h2>国も市街化調整区域の空き家の売買をしやすいようにしている</h2>
国も、市街化調整区域の規制を緩める方向を打ち出しています。
国の狙いは、地方への移住促進と観光振興です。
地方の農村や山間部に都心部の人を呼び込むことによって、地方はコミュニティの復活ができますし、都会の人は心の癒しを得ることができます。
「市街化調整区域の古民家等を観光振興や移住・定住促進に活用できるよう開発許可制度の運用を弾力化~開発許可制度運用指針の一部改正~」という文書です。

www.mlit.go.jp


市街化調整区域で、人口減少・高齢化の進行により、空き家が数多く発生しています。
それで、その空き家を地域資源ととらえ、観光振興や集落の維持のために活用したいという声があり、それを踏まえて既存建築物を活用した地域再生の取組に対して、許可の運用を弾力化するということです。
また国は市街化調整区域の空き家を活用する場合の条件を出していて、宿泊施設、飲食店、賃貸住宅、高齢者向けグループホームなどに転用するのはOK、としています。
「など」となっているので、その目的以外も場合によっては認めるということで、観光振興、既存集落の維持、昔から住んでいる住民たちの生活水準の維持のいずれかに該当すればよい、ということです。

<h2>市街化調整区域の空き家購入希望者が何をするのか</h2>
国や地方自治体が、市街化調整区域の規制を緩めるのですが、それでその空き家を何に使ってもいいというわけではありません。
自治体によっては、住宅としては認められるが、飲食店はダメとか、そういう場合もあります。
例えば、購入希望者が住宅として空き家を使いと言いつつ、実際はカフェにしたいと考えているとか、または増築や建て替えを考えている、というかもしれません。
こういう場合はすべて、地方自治体の担当者に、「購入希望者はこういう目的で空き家を使いたいと言っているが大丈夫か」と問い合わせてみることができます。
問い合わせをして確認しないと、住宅の売主にも責任が及ぶ場合があります。

<h2>売買契約書の「開発許可却下時の特約」に注意</h2>
売買契約時に、売る側が注意しなければならないのが、売買契約書の中の、開発許可却下時の特約に関する条項です。
市街化調整区域の不動産の売買については、行政の担当者がいつ何時「そのような話は聞いていませんよ」というか分かりません。
または、行政担当者が購入希望者に対して、何らかの条件を課すかも分かりません。
その行政担当者が修正指示通りに、空き家売買の内容を変更できなければ、行政の許可が出ないことになります。
この開発許可却下時の解約の特約の条項は、こういった事態に陥った場合、購入希望者は売買契約を解約できるという特約です。
空き家を売りたい場合に、開発許可が下りないという理由で解約となることは、避けたいものです。

<h2>この人には売れないと思ったらすぐに撤退をする</h2>
市街化調整区域の空き家の売買が決まりそうだ、というときに、何の用途にするのかを聞きまして、役所にもよいかどうか聞いて、「このような用途なら問題ない」と保証できたらいいのです。
しかし、「こういう用途では行政の許可が下りない」という場合もあります。
その時は、「許可が下りないので残念ながら諦めてください」と言う、ということです。
市街化調整区域について知らない人、購入後の使用目的を隠す人、行政への相談をかたくなに断る人と交渉しても、時間の無駄となります。
売り急いで、かえってしくじるかもしれません。
それで、じっくり確認して情報収集して、難しいですが、確実に売れると信じて、売却活動を行う、ということになります。

市街化調整区域の空き家を売るのか貸すのか、どうやって売るのかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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 tokaihorei@nifty.com

空き家リフォームの相場について

空き家を売るという時に、リフォームを行って、売却額を増加させたいという方もおられるようです。
空き家の所有者が、その家に住む予定がない場合、物件価格アップ目的のリフォーム費用は、できたら最低限に抑えたいと思うものです。
しかし、リフォームの価格はあってないような不透明なもので、相場が分からないため、大きな損失となってしまうこともありえます。
リフォームの業界は、建築士から無資格者まで入り乱れ、いろんな施工業者があります。
中には悪徳リフォーム業者もいます。
そういう悪徳業者に引っかかった場合、最終的にとんでもない金額を請求されてしまうような事例がいくらでもあります。
それで、今回はリフォーム費用の相場について記します。

<h2>リフォームしない場所のリストを作る</h2>

リフォームをするときりがありません。
空き家リフォームは、かける費用や投資収益とのバランスを考える必要があります。
それで、徹底的に全部を直すのではなくて、まずはリフォームをしない場所を決めていき、残った部分(リフォームが必要な場所)を、消去法であぶりだすということができます。
この消去法ではっきりしたリフォーム不要箇所は、どんなことがあってもリフォーム費用をかけることはしないものと決めておきます。
リフォーム業者は、営業トークを使い、ここを直したらどうか、あそこを直したらどうかと勧めてくるので、「ここは業者が何と言おうと、予算をかけず現状維持にする」という決意が大切になってきます。

<h2>リフォームの判断基準</h2>

1.売却する場合
売却する場合は、水回り関連や内装関連については、リフォーム対象から外してもよいです。
この家を買う人の好みがあるため、あえて内装はいじってない、という言い方もできます。
さらに、「現状渡しでよければ、さらに値引くことができますよ」というように、営業アプローチの材料とすることもできます。
手をかけるのは、住宅の外観が優先順位に挙がってきます。
外観リフォームは、内覧希望者や不動産会社が訪問した際に大きなインパクトを与えることが多く、所見イメージでそのまま売却に結び付きやすいというのがあります。
屋根、外観、門、アプローチなどが汚い家は、内覧者に悪いイメージを与えやすくなります。
2.自分や家族が住む場合
将来的に、空き家所有者ご自身や子供、親族等が物件に住む予定があるのなら、外観リフォームは手を付けないでおきます。
実際に住宅に住む人にとって見れば、生活利便性に直結しない建物外観よりも、具体的な生活上不便であったり老朽化している、建物内部のリフォームの方が重要です。
具体的には、キッチン、手洗い場、風呂、内装のリフォームは、老朽化した機能の刷新化だけでなく、住む人の気持ちもリフレッシュするため、これからもこの家に住みたいという気持ちが大きく盛り上がります。
3.空き家の不動産価値を高めたい場合
この場合は、根本的な増改築や全面リフォーム、二世帯リフォームといったリノベーションを検討することができます。
コストはかかりますが、売却時(賃貸時)に大きく利益が出せる可能性があるため、トータルの手残り利益が向上する結果に結びつくケースがあります。
大きくコストをかけることにより、大きなリターンを考えるという方法になります。

<h2>リフォーム費用の相場</h2>

まず、場所ごとのリフォーム費用を見ていきます。
大体、以下の金額の通りです。
あくまでもこの表は、「この場所をリフォームする人は、大体このくらいの費用をかけているようだ」という価格相場の目安である、ということに注意してください。

水回り
 キッチン 100-150万円
 浴室   100-120万円
 トイレ  30-40万円
 洗面室  20-30万円
内装
 リビング 100-150万円
 ダイニング 30-60万円
 寝室  60-80万円
外観
 外壁  90-120万円
 屋根  50-100万円
 外構・エクステリア 60-90万円
 駐車場・ガレージ  50-100万円
大規模
 増改築  750-1000万円
 全面リフォーム 1000-1250万円
 二世帯リフォーム 1000-1250万円

これより細かい分類の相場や費用については、あまりに数が多く、挙げてはいません。
実際にリフォーム業者の営業から話を聞いて、どんな種類があって、それがいくらなのか、確認していくしかありません。
例えば、上記の表で、キッチンで100-150万円とありますが、キッチンのシンク、流し台だけでも、いろんな商品があり、価格差はかなりあります。
流し台をどのタイプにするかなどの1アイテムで、10-20万円は簡単に変動していきます。
公団型の流し台なのか、それともアイランドキッチンか、そういった違いです。
例えば、食器洗い機をキッチンにビルトインとか言い出すと、さらに値段が張ってきます。
また、リフォームをどこまで行うかについても、また検討しなければなりません。
売却や賃貸を予定した空き家リフォームであれば、常に最低限必要なところだけにコストを投入するということが大事です。
リフォーム業者は、どんどんといろんなリフォームを勧めてくることがあります。
その場の雰囲気に流されて、不要な個所に高額な工事を入れるというようなことはせずに、個別箇所ごとにこれ以上の費用は出さない、という上限価格を決めておくということが大切になります。。

家を売却するか賃貸にするか、またどういうリフォームにするかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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悪徳リフォーム業者に注意

空き家を直して活用したいと思う場合に、悪徳リフォーム業者に引っかかったりします。
家が空き家のままであっても、「倒壊の恐れがある」などとあおって、不要な工事を施工させようとします。
こういう悪徳業者は、詐欺まがいの営業をします。
詐欺まがいのリフォームを行い、所有者が損をする結果となります。
そういう詐欺的なリフォーム業者に引っかからないためには、どうしたらよいのでしょうか?

<h2>なぜ悪徳リフォーム業者が発生するのか</h2>

建設業法では、通常建設工事を請け負うためには、建設業の許可を受けないといけないことになっています。
しかし、一式の請負代金が500万円以下の軽微な工事を行う場合は、建設業の許可は要りません。
リフォームの多くは、500万円以下の工事となります。
リフォームは、特別な資格も不要のため、参入障壁が低く、近年様々な業種からの参入があります。
そういう業者は、面談スペースやショールームを持たず、訪問営業をするというスタイルです。
その訪問営業は、主に判断力の衰えた高齢の所有者を対象としています。
高齢者は体力的に弱っており、自力で床下や屋根に上って確認するのが難しくなります。
そういう高齢者に対して、地震の不安やシロアリ被害の不安、雨漏りの不安など、不安をあおるという常套手段で、標的となってしまいます。
こういう業者が悪徳業者と呼ばれるのは、単に施工が悪い、技術レベルが低いということではなく、実際には行わなくてもよい工事をしたり、その工事が全く効果がないとかで、しかもそれらを法外に高い金額で行うためです。

<h2>悪徳リフォーム業者が近づく手口</h2>

悪徳業者は、ショールームや社内打ち合わせスペースはなく、訪問営業の形態をとっています。
住宅の屋根や外壁は、外からでも劣化状態が分かるので、訪問営業をしている悪徳業者にとっては、外見からして傷んでいる住宅は格好の標的となります。
また、人があまり入らない床下や天井裏も、無料点検と称して言葉巧みに家の内部に入り込んで、欠陥を指摘します。
そういうふうに見てるふりをして、「すぐに修理しないと大変なことになりますよ」と不安をあおって、高額の契約を迫ってきます。
中には、自分で瓦をずらして写真を撮ったり、ポケットに忍ばせて置いたシロアリを使って写真を撮ったり、他の家の写真を見せたりという方法もとります。
モニター募集のキャンペーンと言ってみたり、水道局から委託されて水道水漏れ点検に来ていますとか、いろいろと言います。
市町村職員や消防証の方から、また関電やら、大手住宅メーカーの代理店ですとか、いろいろと言います。
あいさつや無料点検、キャンペーン、モニターなどの言葉を聞いたら要注意です。

<h2>悪徳リフォーム業者と契約した結果</h2>

「自分だけはそんな手口に絶対に引っかからない」と思っていても、業者は言葉巧みに引っ掛けてきます。
その被害については、以下の点が挙げられます。
1.法外な工事価格
2.工事がいつになっても始まらない
3.何の役にも立たない工事
4.手抜き工事や欠陥工事
彼らにとって、空き家は理想のターゲットであると言えます。
「このまま放置しておくと、倒壊します。ご近所に迷惑かけます。早急に手を打つ必要あります。」などと言ってきます。
所有者が近くに住んでいる場合などは、物件近所の人から情報を聞き出して、突然こうした業者が訪問する、ということがあります。
本当に注意しなければなりません。

<h2>悪徳リフォーム業者の契約テクニック</h2>

運悪く悪徳リフォーム業者の営業トークに載せられてしまうと、すぐに見積書を提示されて、セールスを受けます。
「今日中に契約していただければ、工事費の3割を値引します。」等ということで、当日中に契約を迫ります。
他の会社と相見積もりされるのも嫌で怖いので、急いで契約をしたがります。
しかし、最初の値段が法外なため、3割引で安いことはありません。
また、工事見積書の確認欄の押印をしてしまうと、それが工事申込書を兼ねているという場合もあり、油断はできません。
もっとひどいケースになりますと、契約書等の書面を交わすことなく、口約束で工事を始めてしまう業者もいます。
口約束ということで書面の契約書がない時点で、その業者は悪徳リフォーム業者と思って間違いありません。
また契約書については、下記の点の記載が必要です。
1.請負者の氏名、名称、住所、電話番号、代表者の氏名
2.契約者の氏名
3.工事名称、工事内容(契約商品に関する事項)
4.工事費の内訳と合計金額
5.工事代金の支払い方法、支払い時期
6.工期(工事の着工時期、工事の完成・引き渡し時期)
7.契約締結日
8.クーリングオフの要件
上記の点につき、必ず確認を行い、記載のない契約書には絶対に署名・捺印をしてはなりません。

<h2>クーリングオフの要件について</h2>

訪問販売でリフォーム会社と契約してしまった場合でも、契約の書面を受け取った日から8日以内であれば、「クーリングオフ」で解約ができます。
また期間が過ぎてしまっても、契約の際にリフォーム会社がクーリングオフの要件記載の書面を発行したり説明したりというのがなければ、工事着工後でも解約可能です。
クーリングオフの要件については、下記の通りです。
1.クーリングオフ要件の書面受領日から8日間は、書面により撤回・解除ができる(電話による意思表示では不可。内容証明郵便が望ましい。)
2.その効力は書面を発した日に発生する
3.違約金等の請求はできない
4.すでに支払った金額は速やかに返還できる
契約を白紙に戻したい時、業者に不安を感じた時、おかしいなと思ったら、できるだけ早く「財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の住まいるダイヤルや、「国民生活センター」の消費者ホットライン、地方公共団体におけるリフォーム相談窓口などの然るべき機関や、建築の専門家に相談することができます。
独りで悩まず、専門機関に相談するということです。

悪徳リフォーム業者とどう対処するかについても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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分譲マンションの空き家をどうしたらよいか

都市部を中心に、本格的に分譲マンションが建つようになって、もう50年以上経過しました。
京都でも、古い町家をつぶして新築マンションが建つのは珍しくないことになりました。
しかし、マンションが増えたということも関係しているのか、それとも人口減少という問題かで、マンションが売りにくくなっているようです。
それで、居住者が減って老朽化してスラム化してしまう分譲マンションも出るようになりました。
リゾート地、たとえば滋賀県の琵琶湖畔などでは、きわめて安いマンションが売りに出されています。
なかなか売れないと見えて、かなり安くなっていますが、買い手がなかなか見当たらないようです。
そういうことで、空き家となった分譲マンションを所有している場合には、長い間放置せず、できるだけ早く、何らかの対策を取ることが必要となります。

<h2>分譲マンションの空き家の特徴</h2>

分譲マンションは構造が丈夫です。
それで、自然に倒壊することはほぼありません。
しかし、マンション内部では朽ちていきます。
気が付いたときには、手の施しようもない、修繕に多額の費用が掛かる、ということになります。
さらに、きちんと修繕積立金や管理費を払ってきた所有者に、多額の負担を負わせてしまう、ということもありえます。
そして、解体時には億単位の金がかかる場合も多く、この解体費を誰がどれだけ負担するか、という問題も生じてしまいます。

<h2>なぜ分譲マンションの空き家が増えていくのか</h2>

分譲マンションは、50年以上にわたり、おもに都市部で大量に分譲されてきました。
一方、日本の人口は毎年30万人以上、減少を続けています。
つまり、分譲マンションの空き家が増えていく根本原因は、住宅の過剰供給であると言えます。
それで、新築マンションに住み替えることによって、古いマンションには人が住まなくなる、ということになります。
また現在の住宅総数が総世帯数を大きく上回っているのに、それでもまだタワーマンションや、都心マンションの建築があり、新規供給戸数が増加しています。
京阪神でも多くの新築マンションの分譲があります。
それに伴い、分譲マンションの空き家が増えていきます。
さて、日本人は、新築志向があると言われています。
そして、国もこれまで、新築住宅の取得を促進する政策として、住宅ローンの控除や税制優遇などを促進してきました。
それで空き家をこれ以上増やさないためには、一戸建てもマンションも、政策を中古住宅流通の促進の方向にしていくことが欠かせないと言えます。
さらに言えば、新築住宅の総量規制をする、ということになります

<h2>タワーマンションの問題について</h2>

周辺部から電車に乗って大阪都心に出てくると、高いビルがあり高いマンションがあって、思わず上を見上げてしまいます。
そして大阪郊外や神戸市内でも、タワーマンションが目立つようになりました。
タワーマンションに法的な定義づけはないようですが、一般的には高さ60m以上か、20階以上のマンションを超高層マンションと呼んでおり、それが目安となります。
日本で最初のタワーマンションは、1976年に埼玉県で建設され、それ以来続々と建設されてきた、というわけです。
特に1997年に、建築基準法都市計画法が改正されまして、容積率の制限緩和がなされましたので、都市部や再開発予定地に多くのタワーマンションが建設されるようになりました。
特に上層階は、通常のマンションでは得られない眺望があり、共用施設が充実していて、資産価値が高いとして、一部の富裕層や海外投資家の投資対象にもなっています。
しかし、問題点もあります。
2017年にUKロンドンのタワーマンションで大規模火災がありましたが、日本でも同様の問題はありえます。
火災が発生した時、どう消火するか、どのように避難するのかという問題が発生します。
さらに、充実した共用施設の関係で、高額な管理費が発生します。
そして、長期修繕計画が甘く、修繕積立金の途中大幅値上がりもありえます。
区分所有者の中には、所得の異なる人や外国人投資家など、通常のマンション以上に様々なタイプの人がいます。
それで、管理費や修繕積立金の滞納や、修繕計画を巡る住民同士の対立が発生する可能性が非常に高いです。
このようなトラブルが頻繁に発生すれば、嫌気がさして転居する人も増えますので、空室が増えることになります。
そして将来建て替えの時期には、区分所有者の合意形成は困難を極めるはずです。
マンションにも寿命があり、最後は解体することとなります。
その解体費用を修繕積立金に上乗せしておくなどの対策が必要になると思われます。

<h2>マンション空き家をどうしたらいいか</h2>

人口が、地方や田舎から、都会の便利な地域に集中するようになっています。
それに伴い、マンション形式の住居を持つようにもなっています。
しかし、人口総数は減っており、一方老朽マンションも増加しているため、マンション空き家も増えています。
古いマンションは旧耐震基準で建てられていますが、耐震補強工事をするにしても、区分所有者の決議が必要なために、思うように進んでいないのが現状です。
こういう物件では、古くなるにつれて空き家化、スラム化が進んで行くことになります。
今のままの人口減少が続くと、2033年には、マンションも含め、すべての住宅の1/3が空き家になるという予想もあります。
そうなったら、中古マンションもなかなか売れないという事態になります。
また、老朽マンションを解体しようとしても、構造的に頑丈なマンションは、一戸建て住宅のように行政が強制的に解体させることはできません。
解体費用が出なければ、最終的には公費を使って解体することにもなりかねません。
老朽化したマンションは、建て替えにも解体にも、たくさんの困難が生じます。
それで、できるだけ早いうちに中古マンションの活用方法を考えていくことが必要になります。
さて、便利な立地ですと、賃貸にしても売却にしても、活用はなんとかできるのですが、郊外になりますと、賃貸は困難になっていきます。
それでも、値段を下げると売却できるということはできます。
現に郊外の老朽マンションで、100万円台、200万円台で売却されている事例があります。
これは、賃貸にしても同様で、思い切りリフォームして貸すか、または最低限のリフォームで安値で貸すということはできます。
しかし、安値で貸してしまった場合、入居者の質の低下という懸念もあります。
現在、家の価値は9割立地とも言われる時代であり、そのマンションの立地条件を慎重に検討して決定していくことが大事かと思います。

マンションの空き家に関する諸問題についても、お困りの場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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