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空き家は捨てることができるか?

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空き家

所有権を放棄したい空き家、不動産
特に、滋賀、奈良などの山間部や和歌山などで、誰も相続しない、また放棄したい不動産が出てきています。
事実、私が扱った相続の事例でも、和歌山三重山間部の山林は、誰も要らないということで紛糾しました。
また、田舎の空き家や、耕作放棄した田畑、山林などは、税金がかかるだけなので所有権を放棄したい、という要望があるのも事実です。
売却しようにも、購入希望者がいないため、空き家が長引いて朽ちてしまう、という事態にもなります。
それでは、空き家の不動産の所有権は放棄することができるのでしょうか?

空き家を捨てる法律と判例、登記事例はどうなっているか(2019年時点)
1.法律
まず、民法239条第2項では、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」となっています。
これだけ読めば、所有権を放棄したら、自動的に国の持ち物になるんだ、国有地か国有空き家になるんだと早合点してしまいそうです。
しかし、この条文の意味はそれとは少し違うものです。
相続人全員の相続放棄や相続人が一切いないために、法的・理論的に所有者不在となった場合、国庫に帰属するということです。
2.判例
次に判例についてですが、平成28年にこういう判例が出ています。
平成28年5月23日松江地方裁判所の判決です。
要らない土地を、所有者から国への所有権移転登記手続を求めた事案です。
「土地の生前贈与の受贈者による土地の所有権を受贈後直ちに放棄する旨の意思表示は、権利の乱用に当たり無効である」ということです。
つまり、放棄したら国のものになるからいいでしょう、とは言えないということです。
3.登記事例
これは、法務省の見解があります。
昭和41年8月27日民事甲1953号民事局長回答です。
「不動産の所有権は放棄できない。これを原因とする登記もできない。」というだけのものです。
特に理由の指摘もなく、ただ結論だけを示すものです。
つまり、空き家を捨てることはできない、ということです。

空き家の寄付はできるか
では、空き家の寄付はできるのでしょうか?
寄付は可能ですが、どういう人や団体に寄付をするのか、またその際の手続きや税金も考慮する必要があります。
大きく分けて、以下の人や団体に寄付することは可能です。
1.自治体に寄付をする。
2.個人に寄付をする。
3.法人に寄付をする
4.自治会町内会に寄付をする
また、相続放棄によって処分することも可能です。
さらに、ただ同然で譲渡することもできます。
それで、次回は、それぞれの場合の留意点を記していきたいと思います。

令和3年民法改正について(2021年加筆)
民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)のうち、民法に関する改正部分として、第二編物件、第三章所有権に、第四節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令、と置くことになりました。
これにより、所有者不明または所有者所在不明の土地または建物であっても、管理が適切になされるような規定を置きました。
これは民法第264条の2以下の条文になります。
また、第五節 管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令を置きました。
これにより、管理が適切になされていない土地及び建物について、適切な管理がなされるような方策を設けました。

処分にお困りの空き家や田畑山林等ございましたら、弊社または当職行政書士小舘武において、相談を受け付けています。
不動産の処分について適切な方策が示せるものと思います。

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